【中国の安価な労働力:世界同時不況の一因では・・】
  産経新聞 2001年8月31日「読者オンライン」

日本経済の失速は日・米・英・仏・西独5ヶ国の大蔵大臣と中央銀行総裁により行われた1985年のプラザ合意に端を発していると思います。医師である小生にとって経済は専門外ですが、「プラザ合意」は貿易赤字と財政赤字の双子の赤字に悩む米国が、日本の一人勝ちとも言える貿易黒字に業を煮やし、日本に超円高、超低金利、内需喚起を約束させたものと理解しています。

 急激な円高は我国の輸出製造業を直撃し、更に企業は企業内努力では到底経営危機を乗り切れないため生産拠点をコストの安い中国など海外に移転したため産業の空洞化が起こり、国内の失業増加と設備過剰をもたらしました。更に、超低金利は日本国内の資金を国外に還流させ、日本の銀行の競争力を大幅に減退させました。そして内需拡大による数百兆円の公共投資がバブルの創出と崩壊に繋がったと考えられます。一方、米国はプラザ合意により長期の好景気で財政赤字を解消し、意図した通りになっています。

 しかし、ここに来て世界経済にとっての大きな問題は市場開放した中国経済でしょう。21世紀に入って米国経済も失速傾向にあり、日本・EU・アジアが低成長を続ける中で、中国だけが7%を越える成長を続けています。中国の低賃金労働供給力は無限に近く、いくら経済成長しても賃金が上昇せず、米国・日本・EU・アジア世界同時不況の一因ではないでしょうか?我国でも身のまわりの物はほとんどMADE IN CHINAで10分の1以下の人件費でやられたら日本国内の製造業・農林水産業が多少の構造改革をしてもとても競争になりません。1億2000万人も人がいる国がIT産業や福祉ビジネスだけでやっていけるでしょうか?

 グローバル経済のもとでは、日本の物価や賃金が中国並みとはいわないまでも、欧米並みの水準に下がるまで、デフレは終息しません。従って、抜本的な景気回復策は円安への誘導と中国元の切り上げと思われますが、日本は周知の如く、国防さえも他国に依存している状態で、プラザ合意にしても、米軍の地位協定にしても、京都議定書にしても諸外国とまともな外交交渉ができる立場にもないのが国際政治の現実でしょう。