日本人は消費税アレルギーが強い割りに、給与から天引きされる社会保険料には無頓着なので、行政は、保険料を引き上げて社会保障費を賄おうとするが、国民全員がサービスを享受する社会保障制度の財源は保険方式よりも生活レベルに応じて広く薄く国民全員で負担する消費税の方が公平である。

 例えば、未納者が265万人に達し、既に制度として崩壊している基礎年金の保険料は所得の多寡に関係なく13300円で、所得のない学生にも納付が義務付けられているが、消費税ならば、弱者とは言い難い裕福な高齢者も、プー太郎をしている若者も、サラリーマンの妻も生活レベルに応じてその一端を負担し、世代間の負担の不公平、年金保険料未納者の増大、第三号被保険者の問題なども解決できる。

 消費税は弱者に厳しいと言われるが、食料品などの生活必需品を5%に据え置き、その他の物について15〜25%の複数課税とすればその逆進性も緩和され、更に、内税方式とすれば重税感も軽減できる。

 日本に住み、その平和と繁栄を享受する対価として憲法は納税を国民の義務と定めている。サラリーマンの4人に1人が所得税を納めていない実情から、諸外国に比べて高い課税最低限(夫婦と子2人の世帯では384万円)を引き下げる事も正論ではあるが、私の市の夫婦と子2人の生活保護世帯の年間最高給付額は約327万円であり、下手に課税最低限を下げると「真面目に働くよりも生活保護を受けた方が良い生活ができる」ことになり兼ねない。  

 少子高齢社会では社会保障費の増大は避けられない。贅沢をする者が沢山納税する消費税は極めて公平な税制で、我国と高齢化率が同程度の欧州諸国ではスウェーデンの25%をはじめ、殆ど全て15%以上である。

 社会主義の行き詰まった日本の為すべき事は「税制に象徴される過度の平等主義を是正し、健全な競争原理を導入すると同時に、そのセーフティーネットというべき社会保障制度を堅持する事」である。社会保障制度を堅持し将来不安を解消するため消費税を目的税化してその財源とする。そして、頑張った者から懲罰の如く徴収される所得税や社会保険料を減額した方が国民のやる気も出るだろう。 


【社会保障制度の財源には消費税】
  産経新聞 2002年2月16日「アピール」