3.7兆円の血税を投入した旧長銀はたった10億円でリップルウッド社に売られた様だ。朝銀に投入した血税6000億円の一部は北朝鮮に流れ、ロシアには8000億円も援助したにもかかわらず、北方4島を変換するつもりは無い様だ。中国に供与されたODAの総額は3兆円に達するが、軍拡路線の中国が実アフガニスタンへの地雷の最大の輸出国であり、その地雷を除去するの日本である。
そもそも、国防という国家にとって最も基本的な事を他国に依存している国に国益を考えた外交・経済戦略・危機管理が出来るだろうか?偽造パスポートで不法入国した者を、入国の目的を訊く事もなく御丁寧に飛行機まで用意して送り返し、拉致された自国民を傍観し、自国の領海を侵した不審船を引き上げられない国は既に国家としての体を成していない。
兵法を説いた孫子は「軍事力の無い外交はあり得ない。しかし、実際に戦争をするのは愚で、抑止力で国益を守る外交を展開すべし。その際、最も重要なのは諜報活動である」と述べている。日本経済失速のきっかけとなったプラザ合意、京都議定書からの離脱、鉄鋼製品に対するセーフガードの発動、これらはいずれも米国の抑止力の為せる業である。
米国はハイテク諜報活動に力を入れ過ぎ、アフガニスタンでのローテク諜報活動がおろそかになり、ビンラディンに隙を突かれたが、エシュロンという通信傍受システムは米・英・カナダ・豪・ニュージーランドのアングロサクソンの5ヶ国で構成されている。日本には、米CIA、英MI6、独BND、仏DGSE、露SVRの様な諜報機関もなく、外務省は周知の如く機能不全状態である。
「鈴木宗男氏が外務省に不当な圧力をかけた」とマスメディアが大騒ぎしているが、もっと深刻な問題は「外務省に国益の概念が無い事」ではないだろうか?明治以降アジア諸国の中で日本が近代化に成功したのは、アジア的な腐敗から遠い、「国家国民のために」というモラルのしっかりした官僚機構があったからである。
いつも思うが、自分の国を自分で守る事を認めない憲法と自虐歴史観を与え、「愛国心」と「ナショナリズム」という精神的な牙を抜き、二度と有色人種の国が白人の国に伍す事が無い様に目論んだGHQの占領政策はあまりに見事で、57年を経た現在、政治家にも、官僚にも、国民にも「愛国心」が欠如している。
狂牛病に対する農水省の対応や、外務省の機密費流用を批判するのは容易だが、「他国から侵略された時に国を守るために戦う」という若者が30%未満の土壌で、官僚や政治家だけに「国家国民を守る使命感」を期待するのは無理がある。国を守るために戦う気概の無いメディア人が、政治家や官僚の国民の生命と財産を守る使命感の欠如を批判するのはいかがなものか?1988年に自国では肉骨粉を牛に与えることを禁止しながら、他国には輸出し続けた英国の責任を日本のメディアは何故追及しないのだろう。
「自分の国は自分で守るか・未来永劫、他国の軍隊が駐留しその傘の下に居るか・非武装中立で外国から侵略されたら降伏するか」〜これこそ総選挙で国民自身が選択すべき事であるが、メディアは敢えてこれを争点にする事を避けている様だ。
【戦略も理念もない日本の外交】
2002年3月27日