2002年7月3日
【クジラの問題〜
その1:日本の商業捕鯨要求は理不尽か?】
2002年5月に下関市で国際捕鯨委員会(IWC)総会が開かれていたが、近年のIWCでは科学的・客観的な捕鯨国側の意見が反映されず,「鯨を一頭たりとも殺してはならない」とする反捕鯨国側の一部の過激な環境保護団体や動物愛護団体により、科学的な根拠を無視した議論がなされる傾向が強いと言わざるを得ない。
国際捕鯨取締条約には「生物資源の保存は科学的認定に基づいて行うべきである」とあり、この条項こそが基本ルールであろう。
日本鯨類研究所は「クジラが餌として食べる魚介類の量は世界の年間漁獲量約9000万トンの3〜5倍に上り、水産資源全体の保全を考えるとむしろクジラの増え過ぎは望ましくない」としている。日本の要求は76万頭以上生息し、毎年3〜5万頭ほど増えるとされるミンククジラの年間50頭の商業捕鯨であり、これが理不尽な要求だろうか?
米国はこの日本の要求を否決しながら、アラスカのエスキモーには7500頭しかいない絶滅危惧種であるホッキョククジラの捕獲を認め、実際に昨年も42頭を捕獲し、2003年以降も5年間で280頭の捕鯨枠継続を要求している。
反捕鯨国は主に米、英、豪、ニュージーランドなどのアングロサクソン国家で構成されており、さながらIWCは捕鯨国を代表する日本対アングロサクソン諸国の構図を呈しているが、その力関係から多くの議題で反捕鯨国の意向が反映される結果となっている。