2012年3月28日

 以下に、平成24年2月県議会最終日(3月26日)に私が述べた小児医療センターの新都心移転に対する反対討論(抜粋)を掲載致します。


『県内の1等地(新都心第8−1A街区)を県が所有する事には賛成ですが、本定例会初日の「岩槻にも小児医療センターの一定機能を残す」という知事の発言は医療現場の第1線で働く勤務医には容認し難く、小児医療センター移転のためにURの土地を取得する事には賛成できません。

 知事の発言は地元住民や患者・家族への説明会で突き上げられてのものと思われますが、なし崩し的に「岩槻にも、入院機能を持った医療設備の存続」となる事が危惧されます。

 現場の第1線で働く勤務医からは「知事は医療現場が全く判っていない。」という声が私の所に届いておりますが、医師の分散は絶対にやめて頂きたい。

 外部有識者の意見を聞くための小児医療センター施設整備検討委員会の委員には現場の第1線で働く勤務医が一人もおらず、戦力外の医師ばかりです。  

 議員各位と執行部の皆様にご理解頂きたいのは、医療現場はぎりぎりの所で当直をやりくりしており、一人でも欠けるとその負担は残った医者にかかって来ます。医師の場合、看護師と違って当直明けが無く、一睡もできない当直勤務の翌日も通常勤務で36時間連続勤務は当たり前です。この状況で当直回数が週1回以上になると医師はその病院を辞めて行きます。ここに埼玉県の救急医療崩壊の原因があります。

 現状でも小児医療センターの当直体制は常勤医54名だけではシフトが組めず、非常勤医を25名雇用しております。この状況で戦力を分散させると当直が回りません。

 さいたま日赤と小児医療センターを一体的に整備する本計画の目的は、医療スタッフの集約を図り、ハイリスク分娩にも対応可能な周産期医療体制を整備する事であり、医療スタッフを分散するなら、この大前提が崩れます。

 昨年の県知事選挙のアドバルーンでもあった本計画ですが、こういうビッグプロジェクトはちゃんと調査費を付けて、事前調査と事後の影響を検証してから着手すべきではないでしょうか。

 昨年6月2日のプレス発表の段階では特別支援学校の存在が考慮されておらず、私が、昨年12月定例会で質問した本計画の県北東部小児救急医療への影響、即ち小児医療センターが昨年収容した2025台の救急車をどう割り振るかという検証も全く為されておりません。

 そして今回の「岩槻にも一定機能の存続」という本計画の大前提が崩れる様な知事発言と余りにも場当たり的な対応が目立ちます。

 岩槻に小児医療センターの一定機能を存続させるなら、わざわざ戦力を分散して、都心部に小児医療センターと特別支援学校を移転させる必要はなく、小児医療センターは現地建て替えで、新都心は日赤だけで良いのではないでしょうか。日赤は30〜40年後の建替え時には現地に戻るつもりなので、むしろ、新都心には日赤だけの方が無駄がありません。』





県立小児医療センターの
  新都心移転に対する反対討論