上田知事4選出馬〜
  
自ら制定した多選自粛条例を反故」

 上田知事が11年前「筋金入りの提案」と自画自讃し、反対する議会を押し切って可決成立させた『埼玉県知事の任期を三期までとする多選自粛条例(下記に全文)』を破って4選出馬する。
 4期目を目指すのであれば、その可否決は別にして多選自粛条例を改正、或いは廃止する条例を提案してから出馬表明するのが議会制民主主義のルールである。選挙に勝てばルール違反も許されると考える事がまさに多選の弊害ではないだろうか。


議会制民主主義の危機

 
 明治23年の第一回帝国議会以降、日本の議会史上、首長自らが提案し議会が議決した条例を改廃する事無く自ら破った例は一つも無い。

 6月議会で「多選自粛条例を廃止する条例を何故提案しないのか?」という質問に対し、知事は「多選自粛条例を廃止する条例を提案する事は、自ら4選出馬のハードルをなくして、『問題なし』と言う事にも繋がり、潔しとしない」と答弁している。また4選出馬の理由として「個人の価値と世の中の価値を考えた場合、世の中の価値を重視した」と述べている。

 大局的・長期的に見れば、 「多選自粛条例を廃止する条例を提案する事を潔しとしない事」はまさに知事個人の価値であり、耐え難きを耐え「多選自粛条例を廃止する条例を提案し、埼玉県政の議会制民主主義を守る事」が世の中の価値ではなかろうか。

 この問題は多選自粛条例に限った事ではない。
選挙に勝てば、知事自らが提案し議会が議決した条例を守らなくて良いのなら地方自治には首長選挙だけあれば良く、議会は不要である。

 来る県知事選挙は「埼玉県政の議会制民主主義が守られるか、首長の独裁制となるのか」の極めて重要な選択である。



埼玉県知事の在任期間に関する条例
    埼玉県条例第52号 平成16年8月3日公布
(目的)
第1条 この条例は、知事が幅広い権限を有する地位にあることにかんがみ、知事の職に同一の者が長期にわたり在任することにより生ずるおそれのある弊害を防止するため、知事の在任期間について定め、もって清新で活力のある県政の確保を図ることを目的とする。

(在任期間)
第2条 知事の職にある者は、その職に連続して3期(各期における在任期間が4年に満たない場合も、これを1期とする。)を超えて在任しないよう努めるものとする。

附則 この条例は、公布の日から施行し、同日に知事の職にある者について適用する。







2015年7月14日