令和元年6月27日、上田県政での一般質問最終登壇者として上田知事の3期と4年の労をねぎらいつつ、質問させて頂きました。

1.令和2年度の国の施策に対する提案・要望について
(1)「医学部の新設」について
●埼玉県に国公立の医学部がない現状で良いと思っているのか否か?
●国の施策に対する提案・要望の『医学部の新設』に括弧で(国公立)と付記すべきと考えるがいかがか?
●医学部新設の許認可権は文部科学省にあるが、上田知事は3期と4年の在任中に文部科学大臣に医学部新設の直談判に行った事が1回もないと聞いているが、それに間違いないか?

(2)新専門医制度導入に伴う専攻医の都市部集中について
●昨年度の保健医療部長が「新専門医制度導入による医師の地域偏在、診療科偏在を是正する対策を講ずるよう、国に要望して参ります。」と答弁しながら、令和2年度の国の施策に対する提案・要望にそれが記載されていない理
由は?
●全国知事会では制度開始前の平成28年、厚労省に対し「医師の地域偏在、診療科偏在を助長する事のない仕組み」を要望していたようだが、制度導入後の専攻医の都市部集中の結果を受けて、全国知事会でこの問題が取り上げられた事があるのか否か?

(3)東京一極集中の是正について
●令和2年度の国の施策に対する提案・要望に「東京一極集中の是正」が記載されていない理由は?
●次回の国の施策に対する提案・要望に「東京一極集中是正のための税制や社会保障制度の根幹に関わる大胆な要望」を記載してはどうか?

(4)鉄道新線建設における支援制度の拡大について
●上田知事の1期目当選は2003年8月だが、2003年8月と16年後の2019年6月を比較して地下鉄7号線の延伸はどこがどう進捗したのか?
●地下鉄7号線が採算性の観点から岩槻・蓮田に延伸できないのなら、採算性と埼玉県の東西交通の充実の観点から埼玉スタジアム、さいたま市立病院の地下を走らせて、新都心から大宮駅につなぎ、軌道幅が同じで地下にプラットホームがあるJR川越線に乗り入れる案が検討された事はないのか?

補足1:政令市を有する道府県には通常具備されていながら、埼玉県にないインフラが3つあります。1つは「国公立の医学部」、2つ目が「幕張メッセやパシフィコ横浜の様な国際コンベンション施設」、3つ目が「地下鉄と地下街」です。上田県政3期と4年でこれら3つのインフラ整備については何も進捗がありませんでした。何もしなければ、敵も出来ないので低投票率の選挙では有利と言うことも勉強させて頂きました。
 インフラ整備に力を入れて来なかった上田県政唯一のインフラ整備が新都心に病院を建てた事ですが、新都心8-1A街区は病院にするにはあまりにも勿体無い場所であり、国際コンベンション施設とホテルの複合体、或いは県庁舎と国際コンベンション施設の方が良かった事を申し添えました。

 
2.浦和美園に計画されている順天堂大学医学部附属病院の分院誘致の進捗状況と基本設計・実施設計・着工・開院のタイムスケジュールについて

3.県立病院の地方独立行政法人化の進捗状況とタイムスケジュールについて並びに、県リハの地方独立行政法人化の進捗状況と今後のタイムスケジュールについて

4.救急現場のDNAR(心肺蘇生不実施)について
●救急隊の出動件数が年々増加し、75歳以上の搬送者が急増している現状を考えると埼玉県でもDNAR:心肺蘇生不実施を導入すべきと考えるが? 
●DNAR導入に際しては、患者本人とその家族に事前の意思表示の必要性を浸透させると共に、それをかかりつけ医に伝えておく必要があるが、今後、県としてどう取り組んでいくのか?

5.治安とプライバシーについて
●今年の5月28日、川崎市で包丁を持った男が、スクールバスを待っていた児童らを次々と襲い、19人が刺され、2人が死亡する事件があった。こういう無差別殺人を「防ぎようがない事件」で片付けてはならないと思うが、警察本部長の見解は?
●こういう無差別殺人を防ぐにはテロ対策と同じ考え方に立つ必要があると考えるが?即ち、一旦事件が起これば、多数の犠牲者が出る事は避けられず、情報収集により未然に防ぐしかないのでは?
●現在、爆弾テロについては爆弾の原料となる材料を購入する段階で身分の提示を求める制度になっているが、同様に刃渡り30cm以上の包丁を2本以上、同時に購入する場合には身分の提示を求めてはどうか?また、児童虐待と同様に医療機関、即ち精神科・心療内科・メンタルクリニックなどから危険人物の情報提供を求める事も必要ではないか?
●日本では刃物による、アメリカでは銃による無差別大量殺人が無くならない訳だが、個人情報が当局によって厳しく管理されている北朝鮮や中国でも同類の無差別殺人事件はあるのか?
●個人の自由やプライバシーの保護が重要である事は言うまでもないが、個人の自由やプライバシーと治安はある意味では反比例する事を、私達は受け入れざるを得ないのではないか?

6.架換えが決定しているJR川越線の荒川橋梁の複線仕様について
●企画財政部長は地元市の意向が重要と言われるが、本件の様な複数の市に関わる課題こそ、県がリーダーシップをとるべきではないのか?
●遅くとも今年度中に調査費を計上し、国・JR・県・さいたま市・川越市の5者による正式な協議会を設置し、「複線仕様の鉄橋の建設にはいくらかかるのか?」、「土台だけ複線仕様にした場合はいくらなのか?」、「関係自治体の負担割合をどうするのか?」という議論を開始すべきと考えるが?
●JR川越線の荒川橋梁の複線仕様の調査費と、費用対効果が認められない多子世帯応援クーポン事業の予算とどちらの優先順位が高いとお考えか?

7.埼玉県指定文化財の維持管理について
●教育長の云う個々の文化財の状況に応じて対応するやり方では、問題解決に向けた進捗が何も見られない結果になっている。やはり県指定文化財の指定解除、或いは継続的維持管理に関わる要綱を早急に策定すべきではないのか?

補足2:今年6月17日の毎日新聞に「多選自粛条例は公布時に現職だった上田知事のみが対象で、辞職すれば実質的に無効になる。改廃について問われた上田知事は記者会見で『どこかで整理されるといいのでは』と人ごとのように答えた。」という記事がありました。
 「自らのために自らが付けた埼玉県政の汚点を他人に尻拭いさせるのは無責任である」という事を申し添えて一般質問を終えました。



2019年8月2日
令和元年6月県議会:上田県政最後の一般質問登壇者(項目と要旨)