WHO(世界保健機関)が公表している2020年2月20日までに中国で感染が確認された55924人を対象とした調査結果を基に概要を記載致します。
【コロナウイルスについて】
コロナウイルスはインフルエンザウイルス、エボラウイルス、HIV(ヒト免疫不全ウイルス)と同じ一本鎖RNAウイルスで、人に感染し、発熱や呼吸器症状を引き起こすものが6種類あることが分かっていました。
そのうち、4種類のウイルスは、一般の風邪の原因の10〜15%(流行期は35%)を占め、それ以外の2種類のウイルスが中東呼吸器症候群(MERS)や重症急性呼吸器症候群(SARS)などの、重症化傾向のある原因ウイルスとして知られています。
令和元年12月以降、中華人民共和国湖北省武漢市において、7種類目の人に感染し肺炎を起こす新型のコロナウイルスCOVID-19が報告されました。
【発症時の臨床症状】
発熱87.9%、乾いた咳67.7%、倦怠感38.1%、痰33.4%で、発症初期は風邪やインフルエンザと区別出来ません。
【潜伏期間】
感染してから症状が出るまでの潜伏期間については平均5〜6日としつつも1〜14日の幅があり、最長27日の報告例もあります。
【重症化率】
発症例の約80%が軽症で、肺炎症状を伴わない症例も認められています。呼吸困難などを伴う重症化例が13.8%。呼吸不全・敗血症性ショック・多臓器不全に陥る重篤化例が6.1%となっています。
【致死率】
死亡例は2114人で、致死率は3.8%ですが、年齢と共に上昇し、80歳代では21.9%です。また、致死率には地域差があり、湖北省武漢市では5.8%に対し、中国の他の地域では0.7%です。因みに、エボラウイルスの致死率は25〜90%で平均約50%。
MERSが約34%、SARSが約10%、日本国内のインフルエンザの致死率は0.1%以下です。
【重症化の要因】
高齢者、糖尿病、抗がん剤やステロイド使用により免疫力が低下している場合。狭心症や心筋梗塞など心臓に持病のある場合。喘息、肺気腫、慢性気管支炎等の呼吸器系疾患に加え、喫煙習慣も挙げられていますが、これらは新型コロナウイルス感染症に限らず、全ての感染症の重症化要因となります。
【若年感染者は比較的軽症】
19歳以下の感染は2.4%と少なく、全体的に軽症で、若年感染者で重症化したのは2.5%、重篤例は0.2%となっています。この理由は、「子供の時に麻疹(はしか)にかかれば比較的軽症で済む」のと同じと考えられます。