中国武漢のウイルス研究施設から漏れたと云われる新型コロナウイルスは、当初その存在を中国当局が隠蔽しようとし、拡散防止措置を講じなかった為に世界中に広まり、昨年末までに世界の人口の100人に1人が罹患する事態になりました。日本でも2021年1月15日までに302623人が罹患し、4233人が亡くなり、兵庫県で開業医をやっていた後期高齢者の私の叔父もコロナ肺炎で亡くなりました。

 メディアは視聴率を稼ぐ為、国民の不安を煽る報道に熱心ですが、この冬はコロナウイルスによるウイルス干渉のためインフルエンザは鳴りを潜めているものの、ワクチンと治療薬があってもこれまで毎年約1000万人がインフルエンザに罹患し、関連死を含めると毎年約1万人が亡くなっています。

 100年前のスペイン風邪(インフルエンザ)では、当時の日本の人口約5800万人の約4割に相当する2380万人が罹患し死者数は38万8千人に上りました。当時はワクチンも治療薬もなく、結果として国民の半数以上が抗体を獲得する集団免疫によって3年間かかって収束しています。

 ワクチンが著効しなければ、新型コロナもスペイン風邪同様、収束に3年間はかかると思いますが、インフルエンザウイルスよりもコロナウイルスの方が遺伝子量が多く変異し易いので、収束に長期を要するかも知れません。

 過去のウイルスの流行and/or BCGの接種など、理由は定かではありませんが、日本・韓国・中国・台湾・ベトナム・ニュージーランド・オーストラリアなど地球儀でこの経度に位置する国々の感染率・死亡率は欧米諸国より低い傾向にあります。とは言え、昨年10月時点の日本での死亡率は約1.0%(60歳未満で0.06%、60歳代以上で5.7%)で、これはインフルエンザの死亡率0.1%の10倍です。 
 また重症化率は 約1.6%(60歳未満で0.3%、60歳代以上で8.5%)で、高齢者と糖尿病等の持病のある人は不特定多数が集まる所は避けた方が賢明です。
 尚、ここでの重症とは酸素吸入が必要となった状態で、コロナウイルス感染そのものの症状は風邪症状程度ですが、ウイルスを排除しようとする患者さんの免疫反応が強すぎて回復不能なほど肺を損傷してしまう事、and/or血管が詰まる血栓症、即ち心筋梗塞や脳梗塞の併発が重症化を招きます。

 1月8日から2月7日まで首都圏1都3県に再び緊急事態宣言が発令されました。新型コロナウイルスも基本的には風邪系のウイルスですから気温が下がって乾燥する冬期に勢いを増す事は想定内でしたが、ここまで広がると不足しているのはお金やベッドよりも医療スタッフとなり、人口10万人当たりの医師数が全国最少の埼玉県の場合は特にです。

 「新型コロナを入院隔離が必要な2類相当からインフルエンザと同じ5類相当へ引き下げよ」という医療現場・保健所の声も大きくなっており、また日本では50歳未満で糖尿病等の危険因子がない場合の死亡例がない事から昨年12月22日より埼玉県では50歳未満で危険因子がない症例は医師の判断で自宅療養可としたのは適切と考えます。
 医療スタッフの不足は患者さんの治療に優先順位付けを余儀なくされ、治療効果の乏しい80歳以上の人工呼吸器and/or ECMO装着の保険適用を外す事も考えなければならなくなります。最近はもう少し改善しているかも知れませんが、2020年4月時点での米国のDATAでは65歳以上で人工呼吸器が必要となった場合の死亡率は97.2%でした。

 中国ではクラスターが発生した武漢市約1100万人、大連市約600万人、石家荘市(河北省省都)約1100万人、それぞれ都市封鎖して約2週間で市民全員にPCR検査を行い感染拡大を封じ込めています。新興感染症に対する危機管理に関しては民主主義国家よりも全体主義国家の方が強いのではないかと思うこの頃です。

追記:昨年末にテレビ報道されました自民党県議のホテルでの食事ですが、日下部は参加していない事をご報告し新年の挨拶とさせて頂きます。今年も宜しくお願い致します。



謹賀新年:緊急事態宣言再発令
2021年1月15日